[読書]遅ればせながらワンちゃんを読んだ

芥川賞受賞で話題になるずっと前にNHKのラジオ番組で出演していて気になっていた楊逸さんの単行本二冊を最近Amazonで取り寄せておいたのだが,修理から帰ってきたパソコンのデータ復元の時間を利用してまずは「ワンちゃん」と,併録されている「老処女」を読んでみた。

中国の事情やその変化も実感できるし,いるいるこんな人,とか,わかるわかるその気持ち,とか,共感できるところが多くて楽しめた。在日日本人を自称する私としては,中国人から見た日本人や日本社会に対する違和感から始まるいろんな複雑な感情は,よく海外出張から帰ってきた時などに強烈に味わっているものだ。両作とも主人公(?)は中年期にさしかかった女性で,異性関係にはめぐまれない。まわりからは強く生きていると思われるような行動をとっているけれど,実際には傷つきつつなんとか生きている。その日常や気持ちを流暢な日本語でさらっと書いてある。外国で暮らすことで感じる生きにくさとしてではなく,あくまでまわりの人たちの行動や言動から起こる気持ちの起伏という視点で書かれていることも,ひっかかりなく読めた理由の一つだろう。

楽しめたのはいいのだが,はたと困った。中国人の知人との共通の話題にと思って読んだのだが,こんな話題は取扱いが難しい。さて,どうするかな?