[日記]ウルムチでの争乱
中国・新疆ウィグル地域で民族対立や公権力による暴力的な取り締まり対応がひどくなっている事を憂慮している。ウルムチは会社勤めをしていた頃に何度も訪れた場所であり,そんなところで力の論理が幅をきかせている事は,残念きわまりない。
この地域は,以前から紛争の種だった。私がよく訪れた頃は地下核実験以外の話題はなく,治安の面で不安は目立たなかった。が,後任者は爆弾テロやデモがある中で出張をせざるを得ず,気の毒な事であった。だが,訪問者の不安はさておき,地元の人たちの不安や怒りも相当のものだろう。
中国の指導部は様々な面で和諧ということばを強調している。これは,多民族国家であり,価値観の多様化が今後ますます進む中国では,必要な事だろうし,重要な事でもあろう。
ところが,その和諧を促したいはずの当の為政者側が武器を使って強権的な取り締まりをしているのだから,話はおかしくなる。伝え聞くところでは,デモ隊に向かって直接発砲が行われたとの事で,天安門事件の時と,対応は変わっていない。
また,報道のあり方も,あいかわらずだ。漢民族の被害だけを強調するような報道を流し続けるような媒体しか活動を許されない状況は,戦前の日本やかつての中国,ソ連と同じく,国の存続を危うくする要因となり得よう。
理想論では統治はうまくいかないということをさしひいても,現在の新疆ウィグル地域の情勢は憂慮すべきものがある。