平和教育とディベート能力

早めの仕事納めののち,知人の紹介で,数年前に独立された元某メーカー生産技術の技術者さんにお会いし,話を伺ってきた。中国にからんだビジネスに関心があるとのことで,特に日本の技術を活かしたい中国企業と日本の企業のマッチングに興味があるとのこと。今すぐどうこうというわけではないが,そんなニーズを持ちそうな企業も知らぬわけではなし,また,今の仕事から次のステージに移るときにも何かしら協力できるのかも。

で,その後,仲介してくれた中国人留学生といつものように中国語と日本語をまぜこぜにした討論会兼食事会。

  • [留学生] 日本社会が集団主義であることから,社会全体が特定の方向にながされやすい傾向があるという感触を持っており,隣国に対する嫌悪感を募らせる危険があるのでは。
  • [魚野 ] 日本の学校教育での平和教育や報道などでの平和重視の姿勢が徹底している現状,第二次世界大戦の記憶が未だ色濃く人々に残っている現状では,戦争という極限状態にまで至る可能性は低いと思う。
  • [留学生] 日本の学校教育では平和教育が普及しているのは承知しているが,残虐さ,悲惨さを避けるために戦争という手段をとるべきでないという論旨は感情論である。一方で,戦争は利害調整の究極の形であり,戦争を避ける手段として,人々が利害調整を話し合いで行うスキルを見につけることが望ましいが,日本ではそのような教育は行われていないのでは。
  • [魚野 ] 戦争とは利害調整の手段だという捉え方だと,戦争を考える上で,大きな利益のために小さな利益は捨てるべきという考えに行き着く可能性があり,それは平等や平和という観点から好ましくないのでは。
  • [魚野 ] また,話し合いによる調整の教育は,主にホームルーム活動という場で行われており,重視されているはず。ただし,日本では社会に出るといきなり上下関係で人間関係や仕事の上での思考を捉えるよう強制的に切り替えさせられ,合理的な意見を採用する(Win-Winの関係を築く)という解決方法がとられない傾向が非常に強かった。従い,ビジネスパーソンや官僚,学者などをのぞき,一般の人々にはディベートの能力の訓練の機会がほとんどなかった。
  • [留学生] ホームルーム活動というのは初めて知った。今後,調べてみたい。

といったような塩梅で,金山駅近くの食堂でラーメンを食べながら延々と議論をしておりました。

平和構築には人々のディベート能力が大切という指摘は,自分にとっては新鮮でした。