須賀利を訪ねて
朝から車を飛ばし,今日は尾鷲の須賀利までいってきた。観光まちづくり公社や熊野古道センター主催の観光ツアーを実体験するためである。東紀州の観光をもりあげる取り組みの代表例ということで,休みに自費で参加している。
須賀利は尾鷲市の飛び地で,海路が主な交通手段だった地域で,古い町並みや習慣が残っている。今回参加したツアーの目玉は石経という行事だ。石経は,般若心経の文字を一つ一つ石に書き込み,これを海に投げ入れて魚や海難者の供養をするとか。地区にある曹洞宗のお寺の行事で,漁協や海上保安庁も協力し,いろんな役割を分担していた。
1時間以上かけて外洋までまわりながらずっと石を投げ入れていくのを,普段は巡航船として使われている船に乗って,わきで見ている。一部,石を分けてもらっているので,これに一字づつ,好きな字を書いて,参加者も石を海に沈めていく。ネットで調べても,石経というと石に彫ったお経という意味の説明があるくらいなので,こういう宗教行事はあまり他では行われていないようだ。先日参加した,安乗の文楽も賑わい感があっておもしろかったが,こちらの行事も,変わったことをするという意味では興味深い。
参加者は主に団塊の世代以上の男性か,夫婦。それに,写真好きの若者といった顔ぶれで,巡航船の定員の制限で,10名強。中には外国から来た客人もいた。天気が非常に良く,波も穏やかで,これは写真好きにとってはたまらないだろう。一応iPhoneで写真や動画をとってみたが,雰囲気の1/10も伝わっているかどうか。
帰ってきてからは,須賀利地区の人の話を聞くという催しもあったのだが,任意参加ということだったので,地区をぶらついてみた。浜辺につくられた小さな漁村で,江戸時代は風よけの港として賑わったのだろうが,今は寂れた町並みとなっている。ただ,住んでいる人たちの元気さは,くだんのお寺の住職とか,外まで漏れ聞こえる,話し合いでの地区の人達の発表とか,そんなものからはまだまだこのまま消え去るものでもなさそうだなという感じだ。
ツアーを終えた後は,夢古道おわせに立ち寄って,海洋深層水のにがり湯に。