海角7号を見てきた
知人と海角7号を見てきた。台湾で,好成績を収めたという映画だ。なんでも台湾映画としては,台湾での興行収入第一位とか。日本人も多数出演しており,日本と縁の深い地域でつくられた映画として,日本統治時代に関わるエピソードをからめたり,日本人や日本経済との関わりを入れ込むなど,なるほどなと思う。
映画の内容自体は,努力しても報われていなかった人たちが互いにぶつかり合う中で,理解しあい,最後に...というもので,ストーリーとしては王道の類だ。ところどころ笑えるよう,泣かせるよう,スパイス的な要素も取り入れられ,後半は飽きさせない。台湾のガチャガチャ感だとか,日本や日本人への複雑な思いとか,そんなところも映像やセリフのあちこちから伝わってきて,台湾や中国に興味を持っている人ならそんなところも楽しめるだろう。個人的には日本語,台湾語,中国語の三種類が聞けるということでも楽しい時間だった。
日本人の出演者たち,ことに中国語をしゃべり,台湾で働いているという主役級は,たくさんの中国語のセリフを使いこなすのに大変だったろう。そこそこ聞ける中国語になっていて,役柄でも完璧でない中国語を話すということになっていることもあり,それほど妙な感じはなかった。一方で,長い日本語のセリフをしゃべるときは棒読みかと思わせるような違和感があった。
なぜ,この映画が興行収入一位になったのかと興味をもってみてみたが,自分なりの結論は,努力しているのにあまり報われていない人たちの姿が,国際社会の中での台湾の姿に重なることもひとつの要因かなと思った。大陸の経済発展や,それに伴なう外交圧力などにより,台湾の国際社会での地位は相対的にかなり低下してきている。自分たちは民主化だとか経済建設でこんなに努力しているのに,それほど成功している人たち(国)とちがわないのにという思いと共通点があるように思う。
もっとも,一緒に見に行った留学生はそれは違うんじゃないかという意見のようで,主にエンターテイメントとしての面白さを挙げていた。この留学生はしょっちゅう映画を見ているので,生涯でまだ10本くらいしか見ていない自分の意見よりは的確なのかもとその場では思ったが,一位の座を得るほどの秘密が何にあると考えているかは,聞きそびれてしまった。
たまには映画もいいものです。次は「泣きながら生きて」かな。