新三国"穿越"

中国の大河ドラマ「三国志」が中国国内で話題になっている。中国はおろか,漢字文化圏では知っている人も多い「三国志」,今まで何度も各国で映画化され,テレビどらまも放映されてきた。私が中国に興味を持つきっかけとなったのも,かつてNHKが放映した人形劇・三国志だ。中国で三度目だというテレビドラマ「三国志」,そのつくりが雑だと国内で批判が挙がっているようだ。

中国でももちろん人気の三国志,現在ゴールデンアワーにテレビで放映されている。ところが,放映され始めてから俳優がどうのこうのとか,作りが雑だとか,批判が結構多い。

つくりが雑だというのは,例えば時代劇であるのに草原に「空き瓶」が転がっているのが画面の隅に写っていたり,有名な赤兎馬(董卓が味方に引き入れるために呂布に与えたという名馬)の胴に,アルファベットのマークが入っていたり,あるいは,出演者が吟じる漢詩が,時代が下った唐代のものだったりといったことが指摘されている。実におおらか。

もっとも,日本のテレビ制作の現場でも,60年代,70年代は似たようなことはたくさんある。有名な水戸黄門でも,背景に電線が写っていたなんてこともあるそうだし,研究者が多い江戸時代を対象にしたドラマは,時代考証がいいかげんだと批判を受けたことも多い。遠山の金さんや銭形平次など定番ものの間違い指摘は,それだけで娯楽番組となったりする。

今回の三国志の製作者は,大筋は正しく,細かいところは大胆に挑戦との方針のようで,桃園の義をおもいきり短い時間の描写にしてしまった一方で,貂蝉の描写を長くとったりと,ずいぶん冒険をしているようだ。そんな三国志を批判した言葉が冒頭の,新三国「穿越」。あえて意訳すれば,やりすぎ新三国志といったところ。