尖閣諸島(釣魚島)の衝突事故で考えたこと

中国のインターネット上では日本政府が尖閣諸島(中国側の呼称は釣魚島)で衝突事故を起こした船舶の乗員を開放したことを中国の勝利だと祝っている声が多い。普段は中国政府の専制に反対している民主化勢力まで,同じようなことを述べており,民族主義的な主張が中国内で盛り上がっているように見える。だが,本当の勝利とはなんだろうか。

折しも日本は与党民主党の代表戦の真っ最中で,外交問題,安全保障問題への対応に遅れが生じるのではないかと懸念されていたが,発生後,1週間も立たないうちに船舶の航行に責任や権限を持たない一般乗員を帰国させ,責任者である船長を,日本国内の法令に則って取調べを継続している。個人的にはこれは手落ちがあったとまでは言えず,むしろ,冷静な対応をしていると評価している。一方,中国政府も,社会の安定を重視する立場から,この件で当然予想される民間の過激な行動をある程度抑制することに成功しているようだ。

今回の事件に,中国側は度々,丹羽宇一郎駐中国大使を呼び出し,抗議の意思を伝えている。その回数はすでに5回に及び,5回目は深夜に呼び出している。魚野が違和感を持つのは,中国側との面会の際,丹羽大使が述べた日本政府の立場や見解を,中国の報道機関が報道しないことだ。報道抑制は当然,中国当局の意思が影響しているのだろうが,国民が一方的な公式見解を聞かされ,別の見解や反論が知らされにくい,言い出しにくい社会は,民主化の遅れと評価されても仕方なかろう。この意味で,中国の民主化勢力が乗員の帰国決定を中国の勝利だというのは,甚だ違和感を覚える。

もっとも,日本の報道も,深夜呼び出すという行為について感情的に非礼だと見解を述べることはあっても,なぜそのタイミングで深夜呼び出したのか,どのような事情があるのか,分析や検証が見られなかった。日本の報道機関が速報性を重視し,分析や解説が少ないという,構造的な問題が背景にある。中国が,気ままに振舞う大国主義的な外交は長い歴史のあることであり,経済成長が世界で突出する中,こうした態度をとることは不思議なことではない。日本の外交は,こうしたことを織り込み済みで,冷静な対応をしている。社会の安定を重視する中国の政権が,報道規制をしていることも,不思議ではないが,より注目すべきなのは,例えばなぜ深夜呼び出しがあったのかについての嫌がらせ以外の要素にあるのではないか。そうした深い内情を知ることで,有効な,win-winとなる対抗手段も出てこよう。

日本は,幸いそうした自由な報道,検証活動の伝統を根付かせている。これは中国に対する強みであり,中国の報道機関も,外国メディアの引用という形で巧みに当局の意思に反する内容の報道をしていることを考えれば,こうした冷静な中国国内の分析は,中国社会に民主化を促す材料となろう。

本当の勝利とは,政府見解に対して,疑問や反対意見の表明,検証が自由にでき,国民がそれらの議論を通じて自分の見解を固めていき,社会の意思決定ができるという,民主的なプロセス,市民自ら考えるという習慣を根付かせることができていることであり,その意味で,今回の事故の対応を見る限り,いずれも勝利者とは言えない。

在中国因特网的社会里有许多人士说,日本政府解放在尖閣諸島(中方叫钓鱼岛)发生冲撞事故的渔船乘员就是中国的胜利。日常反对中国政府的专制的民主势力也说这样,可以说在中国国内民族主义的风气起来。可真的胜利是什么?

目前,日本与党民主党举行着代表选举,有的人士担心对于这个外交,安全问题的日本政府的对应不适,可事故发生后一个星期以内解放没有责任,没有权限的一般工人,按日本国内的规定继续审讯负责人。我觉得这样对应不可以说有错误,与其批评冷静的。另一方面,从重视社会稳定,中国政府也努力控制容易可发的民间人士的过激活动而得。

中国政府按这个事件已招丹羽宇一郎駐中国大使,表示抗议的意思。召大使已五次而第五次的传唤发了深夜。我觉得不调和的感觉的事是中方报道机关不管丹羽大使表明的日本政府的意见。这样报道控制大概影响中国政府的意思的,可也可以说,不容易发表,得到伟伦,反论的社会不适合民主社会,还在专制社会。按这样的看法,我觉得中国民主分子说乘员回国是中国的胜利这样的意见很奇怪。

但是,日方的报道机关对于深夜招呼大使的中方行动只说不礼貌,可还没有剖析为什么在这个日期做了深夜招呼,有什么事情。这样事情的后面有日本报道机关的重视报道速度,不重视剖析,解说的想法。中国的大国主义外交有历史,目前的经济发达也突出,中方的态度没有奇怪的。日本外交已熟悉中方的这样习惯,已做冷静的对应。中国共产党政权重视社会稳定,控制报道也很自然。重点就是为什么深夜招呼,故意使人不痛快的行动要素以外有什么事情等等。知道这样内部信息,可以考虑到实现win-win关系的手段。

在日本,可以说我们很幸福,公民可以得到自由报道,鉴证的活动的恩惠。这个就是对于中国的优点。中方报道机关常常利用外国媒体的报道,介绍和政府的看法不一样的意见。有这样的需要的话,日方的冷静剖析中国国内政治因该使中国社会进一步民主化。

我想的真真的胜利就是对于政府的意见,有表示异议,反对,剖析的自由,而实现普及公民也按这个议论做自己的看法,社会也按自由的议论做决定的民主过程,定着公民自己考虑的习惯的社会。从这样的看法来看,日中两国还没到胜利。