(6次産業化事業者を含む)食品事業者HACCP対応について
五輪開催までに日本で食品を扱う全事業者をHACCP対応にするという政府の構想については、正直言って零細事業者も含めてHACCP化するって本当にできるのかなぁと懐疑的に見ていましたが、結局落とし所としてこんなふうになるんだねという姿がほぼ固まり、これならできそうかなと思っています。また、元食品メーカー品質管理担当としてHACCPやISOの認証に携わった者としては、これを機に食品衛生管理の水準を上げる一翼を担うべきかなとも思います。今回、業界団体の作成した手引書が重要な要素となりますが、業界団体に属していない事業者さんへの周知は関係者の大変な苦労が今後あろうかと思います。
というわけで最近は食品関係の生産・供給事業者さんに会うごとに説明しているのが以下。
ただし、魚野が理解している内容と、行政や司法の見解が異なっていたり、 最新の情報をおっかけきれていない可能性はありますので、これらの説明に沿って 対応された結果、何らかの損害を受けたとしても、魚野は一切の責任を負えません のであしからずご了承ください。必ず関係機関に最終的な確認をとってください。
小規模事業者さん向けに単純化して言えば、以下のとおりです。
- 取り扱っている食品に応じて、該当する業界団体が作成し、厚生労働大臣が承認した手引書(厚生労働省のサイトに掲載)を参考に、
- 自主的な衛生管理計画をたて、記録書式を定め、(計画・記録書式とも、例が上記手引書に掲載されています)
- 日々の運用を記録してください。
- これを機に、ぜひ衛生管理のレベル向上を図ってください。お金をかけなくてもできることはたくさんあります。
- まずは厚生労働省のサイトでHACCPのパンフレット、Q&A、手引書を見てください。
計画のたて方がよくわからない、CCPをどこにするか、どのように管理すべきかがわからない、これを機に衛生管理の水準をあげたいがどうしたらいいか聞きたい、HACCP対応するための支援情報が聞きたい、など、詳しい話を聞いてみたいという方は、各地の保健所やよろず支援拠点(愛知県のよろず支援拠点は名古屋と豊橋の二箇所)、各都道府県や政令指定都市の農政課さんや,都道府県ごとに設置される6次産業化サポートセンター(愛知県の事業者さんの場合は愛知県6次産業化サポートセンター(ただし、年度初めは未設置。5月くらいから稼働?))や農林水産省が都道府県ごとに設置する農業経営相談所さんなどに相談してください。
0.基本情報
厚生労働省のHACCPのページをご覧ください。特に、Q&Aと手引書が参考になります。
1.新しい仕組みを知っておいていただきたい事業者さんの範囲
- 本来のHACCPの思想からすれば、基本的には加工・流通・販売などで食品を扱う事業者さん全てです。従来、食品衛生法上の営業許可が必要なかったような事業者さんも対象になります。
- ただし、農家さんなど一次事業者さんは、6次産業化や農商工連携など自ら加工したり小売したりしていなければ、管轄が農林水産省となるので、対象外。供給先がどのような知っておくのみでOK。有機JAS認証やGAP認証などをとられたか、とろうとされている事業者さんは、合理的に衛生計画をたて、第三者に説明できるようにするというHACCPの基本的な考え方はこうした認証規格と共通ですので、いろいろ参考になる情報が得られるかと思います。
2.求められるHACCP対応の内容
- 大手・中規模事業者と小規模事業者では求められる水準が異なります。大手〜中規模は、「HACCPに基づく衛生管理」が行われているか、小規模は、「HACCPの考え方を取り入れた衛生管理」が行われているかを問われます。
- 大小いずれにしても、自主的に、合理的な衛生管理計画をたて、それを実施し、記録することで、衛生管理の「最適化」、「見える化」をしていこうということになっています。
- 衛生管理計画をたてる際は、HACCPの7原則・12手順に沿って行うことになります。具体的には商品説明書(扱っている食品がどのような材料を使い、どのように加工し、どのように流通し、どのように消費者が扱うかを想定して記述したもの)、加工プロセスや施設の配置図、商品や従事者の動線図などを準備し、何をどのように管理すれば食品衛生の事故(危害の発生)を防ぐことができるかを決めます。殺菌や密封など特に重要な管理はCCP(Critical Control Point;重要管理点)と呼ばれ、連続監視や記録が求められます。
- 小規模事業者は、自主的に衛生管理計画をたてよとと言われても、殺菌や危害防止の知識・経験が乏しいことが多く、なかなか自主的にというわけにはいかないと思われます。そこで、今回の制度では、小規模事業者は、業界団体が作成し、厚生労働大臣が定めた手引書を参考にしながら計画づくりをしていくことになります。
- 新たにHACCPの認証などをとる必要はありません。基本的には、営業許可の新規取得や更新などで、、HACCPに基づいているか、について、後述のような方法で点検するという形です。
- 中小事業者と大手とでは異なります。小規模事業者の範囲は、まだ最終決定ではないようです(Q&A 問3参照)が、本日(2019年4月6日)時点では、Q&Aに以下のように記載されています。
① 小規模な製造・加工事業者、 ② 併設された店舗で小売販売のみを目的とした菓子や豆腐などを製造・ 加工する事業者(※1)、 ③ 提供する食品の種類が多く、変更が頻繁な飲食店等の業種(※2)、 ④ 低温保存が必要な包装食品の販売等一般衛生管理のみの対応で管理 が可能な業種 などを想定しています。 ※1:菓子の製造販売、食肉の販売、魚介類の販売、豆腐の製造販売等 ※2:飲食店、給食施設、そうざい・弁当の調理等 2 小規模事業者の規模に関しては、事業者団体が作成した手引書で想定され ている規模等を踏まえ、「食品の製造又は加工を行う者のうち、一の 事業所 において、食品の製造及び加工に従事する者の総数が 50 人未満の者」とい う案を提示し、「食品衛生管理に関する技術検討会」において検討を進めて います。
3.対応しなければいけないのか
- 全事業者対応必須です。ただし、小規模事業者さんが行わなければならない内容は、決して難しいものではありません。恐れず挑戦してください。
- 小規模事業者の方でも、輸出に挑戦していたり、百貨店・高級スーパーで販売していたり、高級レストランに納品したりしている場合、手引書にかかれている以上の内容を目指されると良いと思います。ブランド化の一環として、是非挑戦してください。
4.支援してもらえるのか
- 前述の通り、計画のたて方がよくわからない、CCPをどこにするか、どのように管理すべきかがわからない、これを機に衛生管理の水準をあげたいがどうしたらいいか聞きたい、HACCP対応するための支援情報が聞きたい、など、詳しい話を聞いてみたいという方は、各地の保健所やよろず支援拠点(愛知県のよろず支援拠点は名古屋と豊橋の二箇所)、各都道府県や政令指定都市の農政課さん,都道府県ごとに設置される6次産業化サポートセンター(愛知県の場合は愛知県6次産業化サポートセンター)
ただし、年度初めは未設置。5月くらいから稼働?)や農林水産省が都道府県ごとに設置する農業経営相談所さんなどに相談してください。無料で相談にのってもらえます(但し、保健所はチェックするという立場上、説明されたことについて判断はしますが、助言はしてくれません)。 - 資金面での支援については、2023年まではHACCP支援法(農林水産省管轄)に基づいた優遇融資制度があります(但し、高度化計画を作成して承認を受けるなど、いろいろな条件があります)。